岩手大学工学部 研究室訪問 Lab.Navi《ラボナビ》

岩手大学 工学部・大学院工学研究科

研究イメージ
床下約2mの深さに掘られたピット内に設置されている希釈冷凍機。この装置を用いることで、絶対零度に程近い、わずか40 mKの低温の世界を作ることが出来る。この極限環境下で基礎物性測定が行われている。
研究イメージ
 

電子の本性を調べるためには
どのような作業を行うのですか?

 上述した電子の表情ですが、その素顔を見るには実は、特殊な環境が必要になります。 我々人間にとって生活する上での通常(普通)の環境とは、現在置かれている環境です。それは、多くの人々が全く意識のしないことなのですが、温度(20℃:約300 K)、圧力(1気圧:約103 hPa)、地磁気(殆ど感じない:0.45 G)の状態を言います。これは人間にとっては標準環境ですが、固体中の電子にとっては極めて"やかましい(五月蝿い)"世界です。固体には電子を放出したイオンが存在し、そのイオンの熱振動により電子は大きな乱れを受けて、本来の姿ではいられません。
 その本来の姿をみるには、物質にも寄りますが、このイオンの熱振動を抑えた極低温が必要になります。具体的にはヘリウム4あるいはその同位体であるヘリウム3の沸点近傍温度(約〜数K:約−270℃)の低温まで下げてやらなければなりません。さらに、強い磁場を外から印加したり電子同士の距離を近づけてあげたりすることで、磁石である電子を直接制御したり、電子間のエネルギーを高めたりして別の表情へと変えることが出来ます(相転移)。
 こうした日常生活では出現しない集団電子の素顔を、極限環境下(極低温、強磁場そして高圧力環境下)におくことで、電子の本性を見ることが出来ます。

中西 良樹 准教授

この極限環境下に置いた物質の伝導特性、弾性特性、熱特性を測定することで、その電子状態を明らかにすることが出来ます。人間と同じで、電子も極限環境下におくことで、その本性が現れます。

こちらの研究室から生まれた、
新しい発見や発明などはありますか?

 物性研究は、国内外の教育・研究機関と共同で行うことが必要不可欠です。それは、研究目的を達成するには多くの研究プロセスが必要になるためです。試料育成を行い、物性測定を行う。得られた実験結果を解析し、理論家と共に新奇量子現象の物理的解釈を行う。そして口頭発表、論文作成と移り、研究が一巡します。特に大きいプロジェクトを行うには大きな設備と優秀な人材が必要です。こうして、一連の研究プロセスの一部に特化した研究分業が我々の研究領域では主流となっています。
 本研究室は、主な役割として物性測定を担っています。最近の面白い話題では、高圧力で物質が柔らかくなるという物質を発見しました。ここ最近、世の中でも耳にすることが多いレアメタル。特に希土類を含む化合物(Ce化合物)でこうした新奇量子現象を観測し、注目して頂いております。通常、圧力を加えると物質は硬くなります。スポンジでも、マシュマロでも小さくすると稠密になり硬くなることを経験的に御存知だと思います。

中西 良樹 准教授

しかしながらCe化合物の中には、圧力を加えることで軟らかくなります。それは、まるで世の中の各種ストレス(プレッシャー:圧力)を受けた男性諸氏が草食系に移っている昨今の社会状況にも類似しております(笑)。

先生が研究を指導する中で
大切にしていることは何でしょうか?

 企業、工場と違って大学は人材(人間)をつくるところです。そこが大変でもあり、楽しいところでもあります。特に理系としての感受性を大切にするよう指導しております。一見、世の中は複雑、多種多様に感じるかも知れませんが、自然と同じで人間社会の営みの根底は以外とシンプルの様に思います。色々な物事の事象において、この本質を見抜く理系センスを養って欲しいと常に思っています。そのセンスを磨くには研究室で実験を通した研究活動に携わり、真摯に自然現象と対峙することが大切に思います。
 卒業後、人間社会で起こる様々な現象、問題を上述した理系センスでアプローチし、解決してくれる人材が育ってくれたら本当に嬉しいですね。そして大学生には、「何か夢中になれる」、あるいは「新しい自分に逢える」様な気持ち(価値観)の「相転移」を在学中に是非して貰いたいですね。

中西 良樹 准教授
応用化学・生命工学科
生理工学研究室
一ノ瀬 充行 教授
大石研究室
大石 好行 教授
八代研究室
八代 仁 教授
有機合成化学研究室
嶋田 和明 教授
マテリアル工学科
藤代研究室
藤代 博之 教授
平塚研究室
平塚 貞人 教授
山口(勉)研究室
山口 勉功 教授
吉本研究室
吉本 則之 教授
菊池研究室
菊池 弘昭 准教授
吉澤・中西研究室
中西 良樹 准教授
電気電子・情報システム工学科
高木研究室
高木 浩一 教授
今野研究室
今野 晃市 教授
西館研究室
西館 数芽 教授
本間研究室
本間 尚樹 准教授
機械システム工学科
船﨑研究室
船﨑 健一 教授
佐藤研究室
佐藤 淳 准教授
水野研究室
水野 雅裕 教授
柳岡研究室
柳岡 英樹 教授
小野寺研究室
小野寺 英輝 准教授
熱工学研究室
廣瀬 宏一 教授
社会環境工学科
福祉支援工学研究室
大川井 宏明 教授
構造工学研究室
岩崎 正二 教授
環境システム工学研究室
中澤 廣 教授
環境衛生工学研究室
海田 輝之 教授
都市計画学研究室
南 正昭 教授