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岩手大学 工学部・大学院工学研究科

西館 数芽 教授Kazume Nishidate

理学博士。1990年弘前大学大学院理学研究科修士課程修了。1993年金沢大学大学院自然科学研究科博士課程を修了後、岩手大学工学部助手に。講師、准教授を経て、2013年から教授に就任、現在に至る。

西館 数芽 教授
研究室イメージ

先生はご自身の研究を
"現代のハイテク錬金術"と
呼んでいらっしゃいますね。

 中世に端を発した錬金術は、化学的な手法を用いて卑金属から金などの貴金属を精錬しようとする試みでした。その試行の過程で、多くの化学薬品や実験道具が発明されたことから、錬金術が現代科学の基礎を築いたともいわれています。私が取り組んでいる第一原理計算による電子構造の研究は、コンピュータの中に新たな物質を作り出すものです。そうした意味から、"現代のハイテク錬金術"と呼んでいるわけです。
 第一原理計算とは物質の根源的な原理に基づく計算で、プログラムに入力するのは原子番号だけというのが特徴です。原子間の相互作用である分子動力学などの研究に利用されることが多く、何万行ものプログラムによる大規模な計算になるため、多数の高速マイクロプロセッサーが結合された並列コンピュータを使って計算しています。単に実験結果を再現するなら経験パラメーターによる計算でもできますが、第一原理計算は実験が非常に困難な原子・電子レベルの研究に有効で、この世に存在しない新たな物質の性質を予測することも可能です。

西館 数芽 教授

最近取り組んだ研究には
どんなものがあるのか、
具体的に教えてください。

 最近は、電子状態の計算を中心に研究をすすめています。そのひとつが、リチウムイオン二次電池での電子の挙動に関する計算です。リチウムイオン二次電池電池では、正極材料にリチウムイオンが入ってきたときに電子のやり取りをすることで充放電がすすむのですが、その際の電子の挙動を計算で再現しました。これは特に大規模な計算になったため、東京大学の物性研究所の並列コンピュータを使って計算しました。
 また、LED などの発光デバイスとして利用されているワイドギャップ半導体の電子構造を計算し、その調光方法についても調べました。
 原子の中の動きを実験でリアルタイムに追いかけることは、どんな電子顕微鏡を使っても、現実にはほとんど不可能です。そうした実験では分からないことを計算で明らかにするのが、私の研究の基本方針です。計算と実験はどちらも科学的真理に対するアプローチの方法であり、互いに補い合う関係にあるといえるのではないでしょうか。

西館 数芽 教授

第一原理計算によって、
原子や電子の状態をすべて
明らかにできるのでしょうか。

 理論的には可能です。ただ、計算はコンピュータがするので、初めの設定が間違っていては正しい結論に到達することができません。この研究で大事なのは、初期設定を間違えないこと、そして結果を鵜呑みにしないことです。実は、一番危ないのは予想通りの結果が出たときなのです。研究者の思い込みが原因ということも少なくありませんから。第一原理計算は「非経験的電子状態計算」といわれていますが、正しく結果を見極めるには、やはり数多くの計算経験が必要ということでしょうね。
 第一原理計算による研究は、この10年、大きな進展をみました。理論とコンピュータの進歩により、第一原理計算はさらに注目を集めていくことでしょう。

西館 数芽 教授
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