(31)滝沢村の啄木歌碑

滝沢村には二つの歌碑があります。岩手県立大学と篠木小学校にある歌碑です。篠木小学校にある歌碑は啄木の妻節子の歌碑です。
滝沢村は盛岡市の隣村で、チャグチャグ馬っこが有名です。毎年6月の第2土曜日に行われる「蒼前様」を信仰とするお祭で、100頭ほどの馬が、滝沢村の蒼前神社から盛岡市の八幡宮まで13キロの道のりを行進するお祭です。
滝沢村は人口が日本一多い村で、岩手県立大学、盛岡大学と二つの大学が所在しますし、盛岡北高校も滝沢村にあります。この滝沢村は平成26年1月1日から市に昇格し滝沢市になります。


チャグチャグ馬コ


@ 岩手県立大学の啄木歌碑

岩手県立大学は看護・社会福祉・ソフトウェア情報・総合政策の4つの学部をもつ大学です。啄木歌碑は、正門からまっすぐに進んでいくと両側に各学部がありますが、看護学部棟の玄関前にあります。歌はこの「顔のオブジェ」の両面に刻まれています。


岩手県立大学


看護学部前の「顔のオブジェ」

向かって右側のオブジェに啄木の歌が刻まれています。」


「顔のオブジェ」の表面


表面に刻まれた啄木の歌


何となく、
今年はよい事あるごとし。
元日の朝、晴れて風無し。




「顔のオブジェ」の裏面


裏面に刻まれた啄木歌碑


世におこなひがたき事のみ考へる
われの頭よ!
今年もしかるか。



A 篠木小学校の歌碑

篠木小学校には啄木の妻節子の歌碑が建立されています。歌碑は校門を入るとすぐ左側にあります。節子の歌碑が一か所に単独で建っているのは、ここだけかも知れません。
節子は啄木との結婚前の明治37年4月1日から38年3月31日までの1年間岩手県滝沢村の篠木尋常高等小学校(現篠木小学校)の代用教員として教鞭を執りました。歌碑は地区の住民有志が「啄木の文学活動を献身的に支えた節子の功績を知ってほしい」と2009
年10月に建立しました。


篠木小学校


節子の歌碑




今日も又
夢は追ひつと人に云ひ
かくれてききぬ
厨こほろぎ 
節子




歌碑の説明

歌人石川啄木の妻である節子さんは啄木との結婚前明治37年4月から1年間この地にあった篠木尋常高等小学校の裁縫の代用教員として教壇に立ちました。ここに篠木小学校の歴史に刻まれた証として節子(旧姓堀合セツ)さんの歌碑を建立しました。短歌は文芸雑誌小天地に掲載され、啄木の非凡な才能がやがて開花することを信じて止まない節子さんの心情を表わしています。
節子の歌碑を建てる会 実行委員会


(30)雫石町の啄木歌碑

雫石町は盛岡の隣町で小岩井農場、スキー場、温泉などが多数あり、観光に力を注いでいます。この町には啄木歌碑が二カ所、雫石高校と岩手山登山口御神坂駐車場にあります。雫石高校までは高速道路盛岡ICを降りると10km、御神坂駐車場はさらに10kmほど進んだところです。


@ 雫石高校の啄木歌碑

雫石高校の校舎の前の小高い丘の上にこの歌碑は建立されています。


雫石高校の啄木歌碑




病のごと
思郷のこころ湧く日なり
目にあおぞらの煙かなしも
  啄木



A 岩手山御神坂登山口の啄木歌碑

岩手山登山口には柳沢コースなど数カ所ありますが、その一つである御神坂登山口の駐車場に啄木歌碑があります。

岩手山御神坂登山口の啄木歌碑






岩手山
秋はふもとの三方の
野に満つる蟲を何と聴くらむ
   啄木



5月に雫石町を訪れると、岩手山を背景にした、小岩井農場の一本桜、芝桜、弘法桜などが見られます。


小岩井農場の一本桜


小岩井農場の雪まつり(2月)

小岩井農場は明治23年11月1日に東北本線が盛岡駅まできた翌年の明治24年、日本鉄道副社長の小野義眞、三菱社長の岩崎彌之助、鉄道庁長官の井上勝の3名が姓の頭文字を採り「小岩井」農場と名付け、開設された。小岩井農場は900万坪の広さといわれ、雫石町と滝沢村にまたがっています。


花工房の芝桜

花工房「らら倶楽部」は小岩井農場から車で10分ほどの所にあります。


雫石町の弘法桜

弘法桜はらら倶楽部のすぐそばに咲く桜です。弘法大師が杖にしていた桜の枝を立てた場所から生えたという伝説がある推定樹齢800年の珍しい桜で、雫石町の指定天然記念物となっています。


(29)平舘の啄木歌碑

岩手県八幡平市平舘は啄木のお父さんの出身地ということもあり啄木歌碑があります。平舘村は昭和31年に近隣の村と合併し西根村となり、その後西根町となる。西根町は平成17年に近隣の松尾村、安代町と合併し八幡平市になっている。


@駅前の啄木歌碑

JR東日本花輪戦の平館駅に降りると構内には啄木歌碑が建立されている。地名は平舘(たいらだて)のようですが駅名は平館(たいらだて)になっており、舘(館)の字が異なっています。


平館駅


啄木歌碑





たはむれに母を背負ひて
そのあまり軽きに泣きて
三歩あゆまず
啄木  父祖の地



A大泉院の啄木歌碑

平舘の大泉院にも啄木歌碑がある。大泉院は啄木の父一禎が仏門に入ったところで、ここには啄木の祖先の墓もあるとのことです。




わが父は
六十にして家をいで
師僧のもとに聴聞ぞする
啄木






ふるさとの寺の御廊に
踏みにける
小櫛の蝶を夢にみしかな
啄木



B平舘新山の啄木歌碑

大泉院のすぐそばには啄木の代用教員時代の同僚、文学上の友人だった堀田秀子について歌った歌碑が建立されている。





かの家の
かの窓にこそ
春の夜を
秀子とともに
蛙聴きけれ
啄木



八幡平には岩手山を背景にきれいな一本桜(上坊牧野の一本桜)があります。


上坊の一本桜(平成25年5月22日)


(26) (27) (28)はこちら